
はじめに:「薬だけには頼りたくない」と思っていた
「小さな子に薬なんて…本当に必要?」
「できることなら、支援だけで乗り越えたい…」
そんなふうに考えていた私が、息子のために薬(ストラテラなど)を選ぶことになったのは、中学入学の頃のことでした。(小学校時代はセルシン散のみ服用:抗不安作用)
発達障害(ADHD・ASD)と軽度知的障害のある息子は、パニックや切り替えの難しさが日々の悩みの種でした。声かけや支援の工夫だけでは追いつかなくなっていき、「本人が一番つらいんじゃないか」と感じ始めたとき、主治医から薬の提案がありました。
医師に教えてもらった薬の種類と特徴
当時、主治医から提案された薬はこんな感じでした:
薬名 | 特徴と効果 | 備考 |
---|---|---|
ストラテラ | 衝動性や不注意をゆっくり改善。非中枢刺激薬なので依存性が少ない | 効果が出るまで数週間 |
インチュニブ | 興奮やイライラを抑え、落ち着きやすくなる | 眠気が出る場合あり |
ビバンセ | 中枢刺激薬。効果が早く、多動や衝動性に有効 | 食欲低下や依存性に注意 |
コンサータ | 効果が明確。学校生活で集中力を保ちやすい | 効き目は強いが依存性に配慮が必要 |
うちの息子には「ストラテラ」が合っていると判断されました。落ち着きのなさよりも、注意が続かないタイプだったからです。
実際に服薬してどうだった?

最初は「本当に効いてるのかな?」と半信半疑でした。
でも、主治医に「最近、会話が落ち着いてきたね」と言われたとき、「あ、確かに」と気づいたんです。
本人もある日こう言いました。
「なんかちょっと、前と違う気がする。」
効果が出るまでに少し時間はかかりましたが、明らかな変化がありました。
副作用としては以下のようなことがありました。
- 眠気:飲み始めに少しあったが、すぐに慣れた
- 食欲の低下:思春期の影響もあるかも?明確ではなかった
- 皮膚のかゆみや強いだるさはなし
成長期に食が細かったことと、睡眠が浅かったことは、身長の伸びに影響したかもしれません。
ジェネリック医薬品への移行💊:アトモキセチンカプセル
ストラテラからジェネリックへの変更
制度変更により、**アトモキセチンカプセル(ジェネリック)**への移行も経験しました。
薬の見た目が変わることに、こだわりの強い息子は抵抗感を示しましたが、「この先、親がいなくなった後の負担も減らせる」という理由で、ゆっくり話し合いながら切り替えました。
厚生労働省 令和6年10月からの医薬品の自己負担の新たな仕組み
息子の言葉:「薬、飲まないと怖いんだ」

数年たったある日、主治医との面談で、息子がこんなことを言いました。
「飲まないと、怖いことが起きる気がするから、飲みたい。」
親としては驚きました。でもそれは、**「パニックになる自分が怖い」**という気持ちから来ていたのです。
薬はただの成分ではなく、息子にとって「心の安心」になっていたのだと感じました。
親としての葛藤と、決断の理由
強い効果のあるコンサータも提案されましたが、親として依存性が気になり、その時は見送ることにしました。
それでも「薬を使う=悪いこと」とは思わないようにしたのは、主治医の言葉が支えになったからです:
「薬は、子どもが社会の中でつまずかないようにする“杖”みたいなもの。必要なときに使っていいんですよ。」
我が家なりの“薬とのつきあい方”
服薬を「仕方ないこと」と思うのではなく、前向きな生活の工夫のひとつとして取り入れました。
💬 毎週「調子どうだった?」と話し合う
→ 自分の気持ちや体調を言葉にする練習に
🧸 「お守り」として服薬を説明
→ ネガティブな印象を持たせない工夫
⏰ 服薬時間を固定
→ 習慣にすることで飲み忘れを防ぐ
📌 関連体験談:【体験談】自立支援医療制度って⁉︎|軽度知的障害・ASD・ADHDと向き合う家族の記録
最後に:「薬は魔法じゃないけれど、選べる希望」

薬がすべてを解決してくれるわけではありません。
でも、「つらさを少し軽くする手段」として、選べることそのものが安心につながると思うのです。
「薬を使うこと=失敗」ではありません。
そして、少しの落ち着きから成功体験を重ね、自己肯定感が高まることもあると思います。自分から毎日薬を飲んでいる息子の姿を見て感じるのです。
もし同じように悩んでいる方がいたら、この体験が、ほんの少しでも気持ちを軽くするきっかけになれば嬉しいです。
明日も心まるく・穏やかに過ごせますように♪
※あくまで個人の経験に基づいた体験談になります。実際の服薬については必ず医師と相談してください。
※執筆者プロフィール:
障害の息子を育てる母として、日々の支援や社会参加に向けた体験を発信しています。専門家ではありませんが、実体験を通して、同じ悩みを抱える方の力になれたらと願っています。

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