軽度知的障害の息子が初めて一人で買い物できた日|親がした準備と気づき

子育て・発達

はじめに

軽度知的障害の子どもを育てていると、「できるようになった瞬間」が宝物のように感じることがあります。
わが家にとって忘れられない瞬間のひとつが、息子が初めて一人で買い物をやり遂げた日です。

「まだ一人じゃ無理かもしれない…」と心配していた私でしたが、少しずつ準備を重ねることで、息子は自信を持ってチャレンジできました。
その日のことは、親としての私にも大きな気づきを与えてくれました。

今日はその時の様子と、親として気をつけた準備や感じたことをまとめます。
これから「おつかいデビュー」に挑戦しようと思っている方の参考になれば嬉しいです。


買い物に挑戦するまでの経緯

きっかけは本人の一言

ある日、近所のスーパーで買い物をしているときのこと。
息子が突然「ぼく、一人で行ってみたい」と言いました。

それまでは「おつかい」と言えば、必ず私や家族と一緒。レジでお金を払うのも、商品を選ぶのも、横にサポートが必要でした。
だからこそ、その言葉には私自身が驚かされました。

「本当にできるかな…?」と不安もよぎりましたが、その気持ちを大切にしたいと思ったのです。


小さな練習からスタート

いきなり一人で行かせるのはハードルが高すぎると考え、まずは「段階的な練習」から始めました。

  1. 店内で私が少し離れて見守る
  2. 商品をカゴに入れる
  3. レジに並び、店員さんに渡す
  4. お金を払って商品を受け取る

この一連の流れを、繰り返し練習しました。
ときには「後ろに並んでいる人が気になって焦る」「小銭を落としてしまう」などのハプニングもありましたが、その度に「失敗も経験」と言い聞かせました。


親が準備したこと

初めての挑戦を安心してできるように、親としていくつか工夫をしました。

  • 行くお店を固定
     いつも利用している近所のスーパー。店員さんの雰囲気もわかっていて安心できる場所にしました。
  • 買うものは1〜2点だけ
     パンや牛乳など、すぐに見つかるものを選びました。
  • お金はジャストで渡す
     お釣りを計算するのはまだ難しかったので、少し多めに渡すか、100円なら100円ピッタリを渡しました。
  • 持ち物をシンプルに
     小さな財布とエコバッグだけ。余計なものを持たせないようにしました。

こうして“できるだけ成功しやすい環境”を整えたうえで、いよいよ一人で挑戦する日がやってきました。


初めて一人で行った日のこと

出発の瞬間

財布を持った息子は、玄関で少し緊張した様子。
「行ってきます!」と声をかけるその表情は、不安とワクワクが入り混じっていました。

私は家の窓からそっと見送りながら、胸の中で「大丈夫、大丈夫」と繰り返し祈っていました。
親の方がドキドキしていたかもしれません。


帰ってきた時の笑顔

しばらくして、エコバッグを手にした息子が帰宅しました。
「できたよ!」と見せてくれたのは、頼んだパンとちゃんとしたお釣り。

その瞬間、胸が熱くなり、思わず「ありがとう!」と抱きしめていました。
本人も達成感でいっぱいの笑顔を見せ、家族みんなで喜び合いました。


ちょっとしたエピソード

この日の思い出には、笑えるハプニングもあります。
私が「蒸しパン」をお願いしたとき、息子が真剣な顔でこう言いました。

「虫パン🐛は僕、嫌いだから…」

その場にいた家族は大爆笑。息子もつられて笑い、買い物体験がさらに楽しいものになりました。
こうしたユーモアも、緊張を和らげる大切なスパイスだったのかもしれません。


挑戦を通じて感じたこと

本人の自信につながる

「一人で買い物ができた」という成功体験は、息子にとって大きな自信になりました。
それ以降、「次はこれもやってみたい」と新しい挑戦を自分から探すようになったのです。


親の勇気も必要

見守る時間は、正直言って親にとってもドキドキでした。
「今ごろ迷っていないかな」「お金を落としていないかな」…心配は尽きません。

でも、親が信じて送り出すことこそ、子どもの成長には欠かせないのだと実感しました。


その後の広がり

やがて「自転車での買い物」にも挑戦しました。
交通ルールを守れるか、事故に遭わないかと心配で、私は後ろから隠れてこっそりついて行ったこともあります(笑)。

少しずつ距離を伸ばしながら、「できる」の幅を広げていきました。
挑戦を重ねるごとに、息子は確実に成長していったのです。


まとめ 🌈

息子の「初めての一人買い物」は、本人にとっても私にとっても大きな一歩でした。
「まだ無理かもしれない」と思うことでも、小さく分けて練習すれば、できるようになることを改めて実感しました。

今は成人している息子ですが、この経験は私の中で今も大切な宝物です。
これからも息子の「やってみたい」という気持ちを大切にし、応援し続けたいと思います。


🌱プロフィール

障害のある息子を育てながら、日々の支援・工夫・制度利用について情報を発信しています。
専門家ではありませんが、同じ悩みを抱える方のヒントになればと願っています。



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